館山から南房総市の白浜方面に車を走らせている途中、『花音』の看板が目に入ってきた。
どうやらカフェのようだが、初めて聞く名前だ。
そのまま素通りし、道の駅白浜野島崎まで行って一息。
さて、次の目的地はどこにしようか、、、そんなことを考えているとどうしてもさっきみたカフェが頭から離れないのでネビで調べてみた。しかしそれっぽい名前のお店は出てこない。
どうやらまだナビに出てこない新しい店のようで、なんとなく気になったので行ってみることにした。
南房総 カフェ花音(かのん)
可愛らしい看板と店名。
敷地内に入ってみると、すでに駐車場はいっぱいだった。
まだ初心者マークが取れない私は、奥まで入ってしまい、必死に切り返してUターン。
この日はたまたま開放されていたので、店主に駐車場を聞くと、「塀の向こう側に停めていいですよ」といってもらった。
実はこの時点でこのお店は良いかもなと思った。店主の人柄がすぐにわかったからだ。カフェは店主の雰囲気で8割が決まる。
カウンターは空いていたが、2人席を使っていいか聞いてみると、こちらも気前よく、「いいですよ〜」と言ってもらい、着席。
レトロな内装がGood
店内に入るとすぐにわかるのが内装のレトロさだ。
置いてある物から察するに、おそらく100年近く経つ建物なのではないかと思う。
『となりのトトロ』で使われていた、『あの電話』が置いてあった。その横には武士と外国人の写真。
生姜焼きランチをオーダー
ランチメニューは日替わり。コーヒー付きで1,000円。
この日のランチは私の大好物である生姜焼きに決定。
私は生姜焼きが大好きで、学生時代から毎日のように生姜焼きを作り続けてきた。一時期は生姜焼きブロガーになろうとしていたほど大好物で、自宅の冷蔵庫に豚肉と生姜は常に欠かさない。
こちらの生姜焼きは歯ごたえを感じる厚さ。いわゆる厚切りロース肉ではなく、味の染み込みやすい薄切りでもない。中厚の肉の脂からはわずかに豚の甘みを感じる。
方向性としては家庭的で、個人的に好きな味付けだった。いろいろと趣向を凝らしたレストラン的な生姜焼きもいいが、頻繁に通うならば家庭的な味が1番飽きない。
家庭的とはいってもこちらのものは洗練されていて、例えるならば、『地元公民館の中でも1番センスの良いおばちゃんが作った』といったような感じ。もちろん彩りや盛り付けのセンスも良い。
ふと、テーブルの下に目をやると、実は昔の足踏みミシンをリメイクした物だったことに気づく。芸が細かい。
コーヒーはクセが無く平均的な味。白浜の海のような深い青色のカップが気に入ってしまった。
元銀行の建物を改装
店主に聞いてわかったことは、この建物はもともと銀行で、使われなくなってから店主が購入したものだったそうな。
店主との会話が楽しくてつい写真に収めるのを忘れてしまったが、黒光りした重厚な金庫がカウンター奥に鎮座していた。この金庫の迫力がすごくて、お店に入った瞬間に圧倒されてしまったほど。まさにヘヴィ・メタルだ。
他にも、昔の時計や温度計などが飾られている。
「置いてあったんです。」
聞いてみると、これらのレトロ物は、店主がこの空き家を購入したときに置いてあったものだそうだ。
このシャンデリアも最初からあった物らしく、金庫同様にものすごい存在感を放っていた。
100年前からある銀行に備え付けられていたシャンデリア。
ところどころにガラスが欠けたりしているところに時の流れを感じる。金属は味のある真鍮のような素材。
新品のシャンデリアでは多分馴染めていないだろう。だが、年代物で長らく照明の役割を果たしてきたボスのようなシャンデリアは不思議と馴染む。古民家にシャンデリアはありなのだと初めて気付かされた。
「館山だったら行くのにと友人に言われるんです。」
そう、ここは南房総市の中でも最南端に位置する白浜地域。
仮に東京から車で行くと、千葉県南端の終点である富浦インターを降りて、さらに下道を20〜30分は走らないとたどり着けない。
過疎地域である南房総一帯の中でもこの白浜地域は超田舎と言っていいだろう。
あえてここでお店を開いた理由を聞いてみると、「客足がちょうど良さそうだった」とのこと。
館山は未だに海水浴の観光客は来るが、夏が過ぎれば閑古鳥が鳴く。なので定期的に通ってくれる客は少ない。
そういった理由から、あえて中心部から離れた場所にカフェを開き、サスティナビリティを模索している店主。ただの料理好きなおばちゃんではないなと思った。
花音へのアクセス
2019年4月現在、まだGoogle Mapには出ていない。
地図を頼りにしていく方は長尾商事を目指すとわかりやすい。
駐車場は4台くらい。
敷地内に停められない場合はこの写真のような感じで塀の向こうに停めて下さいとのこと。