元うつ病の人へのインタビューを募集していた
僕は自分のうつ病の経験から、うつ病の回復にとって何か役に立つことがないかなあと常に考えています。
そこに社会奉仕みたいな気持ちはほぼ無いのですが、自分の健康のために良い方法を思いつけば、コストをかけずに他の人にも流用することが出来ます。どうせ自分がうつ病になってしまったのなら、元の状態に戻るまでのノウハウを他の人に教えてもコストは同じなんですよね。
強いていうなら、こうしてブログに書く時間的なコスト程度。まあこれも結局は自分のうつ病対策になるので、結果プラスになります。
しかし、所詮自分一人の体験だけだとどうしても情報が限定されるし浅い知識しか出ないんですよね。なので思い切って元うつ病の人へのインタビューを募集してみました。
僕は元うつ病の人10人にインタビューしたい。今後増えるであろう、うつの人の可能性を広げたい。
— ヒラノ (@gonkichi331) April 19, 2016
とりあえずTwitterをつかって募集。募集というよりは、コレやってみたいなあというつぶやきでした。
ところが、このツイートをしたところすぐに反応が!
@gonkichi331 病院に行ったことはないけど、一時期相当ヤバかったり、不登校・引きこもりだった自分でよければ(笑)
— なかかず (@kaz_volley) April 19, 2016
なんと、速攻で連絡をいただけてしまいました。このなかかずさんという方はブログを書いていて、うつ病や通院歴は無いにしても、引きこもりという過去をお持ちでした。
ちなみに僕は以前から何度か彼のブログの記事を読んだことがあるのですが、ものすごく刺さる内容で、読む度に自分の過去について重ねて思い出したりするのです。
例えばこの記事。彼は引きこもり中にネットゲームを通じて彼女を作ってしまうほどの猛者なのです。シビれます。
引きこもり=うつ病というわけではありませんが、引きこもりや不登校という人の中にも、うつ病になってしまう方が少なからずいるんじゃないか?そう思い、なかかずさんにインタビューをお願いすることにしました。
引きこもりを3回経験した方にインタビューをした
今回のインタビューは、僕がインタビュー項目を書いてなかかずさんに送り、その後Googleハングアウトというサービスを使い、動画と音声での会話をさせていただきました。そして最終的に動画を見ながら文字起こしと編集をしてまとめたものになります。
親が放任主義すぎても孤立してしまうというのは僕にとって新たな気付きでした。そして、何かのきっかけがあって一度リズムをつけると案外また元に戻りやすいということ。
人間はひょんなことから「まあいいかな」という風になれるものなんだと思いました。
「誰か自分を殺してくれ」という気持ちになった
その時、自分の精神状態がマズくて、ヒステリーのような感じで犬に辛くあたってしまって。
ある朝、自分の隣の部屋にいた1年経たないくらいの犬5匹が突然消えてて。親に聞いてみると「保健所に連れていった」と言われました。
ろくに散歩とかも連れていかず、最終的に犬を殺してしまった。自分はなんてひどいことをしたんだろうと。
その時は本当に精神的にどん底にまで落ちて、「誰か自分を殺してくれ」くらいの気持ちでした。それでも自分で自分を殺す勇気がなくて、どうしようもなくなって近くにあったカッターで自分の体を傷つけてしまいました。呆然として心ここにあらずという感じです。
部屋にはまだ犬の毛が落ちていたりして、直前まで犬達がいた痕跡を見ながらずっと泣いたりぼーっとしてたりしていて、その時がどん底でしょうね。
引きこもりのことは平然と人に話せるようになったのですが、この一件だけはなかなか話すことが出来ませんでした。
犬のくだりは聞いててかなり辛かったです。そしてその結果、優しくなったというのはすごく共感が出来ました。
罪悪感からの自傷行為は責任感が強い人がなりやすい。実際に話している時も、彼から良い意味での純粋さと責任感の強さを感じました。
引きこもりと仕事について
あと、『相談』って難しいと思うんです。自分がどう思っているかも言葉にできないと思うんです。何を相談したらいいかわからない。つまり相談しようがない。
だから、普通に話せる人が欲しい。好きなことについて友達とかと話すといいですよね。
例えばゲームが好きだったら、今は家庭用のゲーム機でもネットを通じて世界中の人と一緒に遊べますよね。ゲーム好きな人を見つけて遊んだりとか。そうやって誰かと関わっているだけでも気持ちが変わってくると思うんです。
ネットって職業とか年齢とか関係なく話せる場所だから、自分が引きこもりだとか考えずに普通に接することが出来る。そうして仲良い人がいたら自然と外に出てみようかなあってなります。自分がそうだったんで。
無理に外に出ようと思わなくていいから、誰か一緒に話せる人がいたらいいんじゃないかと思います。
そうやってたら世間話くらいなら出来るようになっていました。いろんな人がいるのが面白いなって。
コンビニ時代に仲良くなった常連のお客さんでご飯誘ってくれた人もいましたよ。その人は結婚式まで呼んでくれました。
自分の声がずっとコンプレックスだったんですけど、全然知らない人から良い声だねって言われた時に嬉しくて涙目になったんです。
それ意外でも、誰かと楽しく話せるのが嬉しくて涙目になっちゃうことが多いです。そういう理由でも接客が好きなんだろうなって思います。
接客業と引きこもり。正直これまで自分の中で全くつながらなかった部分でした。
しかし話しを聞いてみると超納得。むしろどんどんみんな接客やったほうがいいんじゃないか?と思いました。
あと、「何を相談したらいいか自分でもわからない」ということ。これは周りの人が「相談に乗るよ」という状況に陥りやすいが、実際は自分でもわかっていないことが多い。
こういった状況はうつ病時の無気力状態にも共通していて、何がやりたいかわからないのでどうしようもない。それでも周りの人は一生懸命に相談に乗ろう、話しを引き出そうとして余計に疲れてしまうんですよね。
『村社会のダメな部分』について
ただ、子供からすると、下手に移住すると危険なんじゃないかって思います。
幼少期か、あるいは高校生以上の精神的にしっかりした頃なら大丈夫かと。小学校、中学校の微妙な時期にコミュニティがガラっと変わるとすごく危険です。リスクがでかすぎて。
自分の地域は小中学校の頃、よそから引越してくる子供もいて、その子達を見てても自分と同じような感じで。最初はチヤホヤされるんですよ。でもだんだん飽きてくると元のコミュニティに戻って、引越してきた子は孤立気味になっちゃうという。
その年代で村社会に入るのは難しいんじゃないかと思います。
あと、子供だからこそ容赦の無い部分があって。誰かがハズれてても気にしないで輪を作ってしまう。大人だったら、ある程度配慮が出来る人が中には出てくると思うんですけど。だからよそから来て村社会に馴染めなかった時って精神的なダメージが大きいです。
子供の時にそういう場に入れられると上手いこと対処できない。大人なら当たり障りなく接したりすることができますけど、子供の時にそれをやれっていわれても無理ですね。
やっぱり親との関係が良いか悪いかで変わってくるかと思います。
最近はフリースクールとかいろいろ出来てるみたいですけどね。
物理的に離れているとコミュニティの形成が難しいというのは、都会に暮らしているとわかりにくい問題でした。
今後は新しいスタイルの教育方式や移動手段が出てきて子供達にも住みやすい環境になって欲しいです。
インタビューを終えて
僕は今でこそ引きこもり気味の生活を送っていますが、学生時代に引きこもった経験はありません。人が3回引きこもるとはどういうことなのか、なかかずさんと話して少しだけわかったような気がしました。
本人の口から直接辛い経験や胸に突き刺さるような内容の話しをしていただきまして、聞いているこちらも時折辛くなるほどでした。
しかし、中にはコンビニ時代のお客さんが結婚するという心温まるエピソードもあり、彼は良い物を持っているんだなあと実感出来ました。生きていれば辛いことの方が多いかもしれないけど、良いことだってあります。少しでも引きこもりやうつ傾向の人が楽な気持ちなったら良い。今回そんな気持ちで記事にさせていただきました。
インタビューを快く引き受けてくれたなかかずさん、本当にありがとうございました!
なかかずさんのブログはこちらから読むことが出来ますので、気になった方は是非!