Amazon Prime Videoで観たもので良かった作品を語る。
登山系アニメ映画というニッチな作品、「神々の山嶺」を観た。
孤高のクライマー、羽生と、長年誰もわからなかった真実を追いかける深町の物語である。
なんとなくタイトルだけで観てしまった、いわゆる「ジャケ観」作品だった。
山屋の物語
この映画は、いわゆる山に魅了されすぎてしまった「山屋」の男たちの話。
登山だけを専門として食うためにやっている人間でもない、しかも周囲からの大きな支援もない。それでも山への憧れと、己の限界を知りたくなるのは登山家の性なのだろう。
主人公である記者の深町が追いかけている羽生という男はとことん山に魅了され、内に秘めたる山への思いは他者を寄せ付けない。
羽生はゆるい登山など決して自分に課さない。厳しい山であればあるほどその危険性とは裏腹に奮い立ってしまうのだ。
深町と羽生が初めて出会うシーンでの羽生にはある種の怖さがあり、これから登山の話にならなそうな危険な雰囲気すらあった。
絵がレガシー
この作品は、全体的に個人主義っぽい作風に仕上がっている。
一般的にパートナーを必要とする場所でも、単独登山を決断するといった、個人の主張を重視するストーリーだ。
また、タイムスリップしたような、ちょっとレガシーな絵が魅力的である。
最新のアニメばかり観ていると、昭和的な絵柄に違和感を覚える方もいるだろう。
80年〜90年代の作品と言われても信じてしまうと思う。
マーベル作品等の派手な3DCGしか楽しめない人にはオススメできない。
とはいえ、登山アクションシーンのリアリティは非常に高い。
垂直の壁を必死に登る時の緊張感のある画にはこちらも手に汗を握ってしまう。
物語は日本語で展開するが、英語表記のタイトル?があり、もしかして海外作品なのかと思うことがしばしば。
スタッフロールでようやくフランス映画だとわかった。
音楽が素晴らしい
この作品は音楽が素晴らしく、音楽だけで2杯はメシが食える。
最後の最後まで作品内に引き込まれるような音楽がシーンをつないでくれる。
久しぶりにサントラが楽しみな作品である。
まとめ
ひたすら己を信じ、無謀とも言える単独スタイルで山を登り続ける羽生。
そんな羽生に魅了され、真実を突き止めたい深町。
深町の消化不良とも思える日本での日常と、登山に命をかける羽生の対比は素晴らしく、羽生の見ている世界を羽生の目線で見たくなってしまう。
ラストシーンではニヤリとできるだろう。
山屋は決して山をやめられないのだ。
レビュー点数
総合 4.0