不登校と引きこもりを3回経験した方にインタビューしたら予想外のイイ話しが聞けてしまった

引きこもりインタビュー

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元うつ病の人へのインタビューを募集していた

僕は自分のうつ病の経験から、うつ病の回復にとって何か役に立つことがないかなあと常に考えています。

 

そこに社会奉仕みたいな気持ちはほぼ無いのですが、自分の健康のために良い方法を思いつけば、コストをかけずに他の人にも流用することが出来ます。どうせ自分がうつ病になってしまったのなら、元の状態に戻るまでのノウハウを他の人に教えてもコストは同じなんですよね。

 

強いていうなら、こうしてブログに書く時間的なコスト程度。まあこれも結局は自分のうつ病対策になるので、結果プラスになります。

 

しかし、所詮自分一人の体験だけだとどうしても情報が限定されるし浅い知識しか出ないんですよね。なので思い切って元うつ病の人へのインタビューを募集してみました。

 

 

とりあえずTwitterをつかって募集。募集というよりは、コレやってみたいなあというつぶやきでした。

 

ところが、このツイートをしたところすぐに反応が!

 

 

なんと、速攻で連絡をいただけてしまいました。このなかかずさんという方はブログを書いていて、うつ病や通院歴は無いにしても、引きこもりという過去をお持ちでした。

 

ちなみに僕は以前から何度か彼のブログの記事を読んだことがあるのですが、ものすごく刺さる内容で、読む度に自分の過去について重ねて思い出したりするのです。

 

例えばこの記事。彼は引きこもり中にネットゲームを通じて彼女を作ってしまうほどの猛者なのです。シビれます。

 

引きこもり=うつ病というわけではありませんが、引きこもりや不登校という人の中にも、うつ病になってしまう方が少なからずいるんじゃないか?そう思い、なかかずさんにインタビューをお願いすることにしました。

引きこもりを3回経験した方にインタビューをした

今回のインタビューは、僕がインタビュー項目を書いてなかかずさんに送り、その後Googleハングアウトというサービスを使い、動画と音声での会話をさせていただきました。そして最終的に動画を見ながら文字起こしと編集をしてまとめたものになります。

 

ヒラノ
今日はよろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介をお願いします。
なかかず
中学の時に引きこもり(不登校)になって、そのあと中学3年の時に1度復帰したんです。高校にあがってからまた不登校になりました。それが2年続いて、その後高校に通いだして卒業して、そのあとまた引きこもりになりました。合計3回の引きこもりです。
ヒラノ
現在の引きこもり期間はどのくらいなんですか?
なかかず
先月に仕事辞めたばかりでそこからは特に何もやっていません。もうすぐ1ヶ月になります。
ヒラノ
最初に不登校、引きこもりになったきっかけは?
なかかず
引越してから友達ができなかったんですよね。いじめとまではいかないまでもイヤだなということをされたことです。今住んでる場所は田舎なので、小中学校はクラスがずっと一緒で。中学にあがってからだんだん学校休みがちになって、そこから何ヶ月も休んでっていう感じです。
ヒラノ
中学で一度引きこもりになってからその後高校に行ったのがすごいなって思うんですけど、そこは何か機転があったんですか?
なかかず
中学2年の後半くらいから全くいかなくなったんですけど、3年生の時、卒業アルバムの写真を撮りたいからって先生に言われて、仕方なくガマンして写真を撮りにいったんです。それで行ってみたら、まあ行ってもいいかもなって感じになったんです。それで何日かしてから続けて行くようになりました。
ヒラノ
それをきっかけに高校に進学した?
なかかず
高校行きたいとは思ってなかったんですけど、周りから行ったほうがいいよっていわれて。とりあえず行っとくかと。そういう気持ちで進学したんで、高校行ってまた引きこもりになったのかもしれません。
ヒラノ
最初に引きこもりになったときの周囲の反応は?
なかかず
うちは親が放任主義で、好きなようにしなさいといわれました。行きたくないなら行かなくてもいいよと。ただ、逆に自分はそういうのがキツかったです。ほったらかしにされて相談とかも出来なくて。もう完全に殻に閉じこもっていた状態です。
ヒラノ
その時は親以外に話せる人とかはいましたか?
なかかず
中学入ってから自分と同じようによそから引越ししてきた友達がいて、彼も学校休みがちで。それで一緒に学校休んで家でゲームしたりしてて、そういう意味で話せる友達はいましたね。
ヒラノ
それいいですよね。不登校仲間コミュニティ的な感じで。ちょっとビックリしました。
なかかず
その友達は同級生だったんですけど、1つ学年下で学校休みがちな友達がいて、その3人でよく遊んでました。本当に助かりました。その後、高校で不登校になったときも彼らとよく過ごしてました。

 

親が放任主義すぎても孤立してしまうというのは僕にとって新たな気付きでした。そして、何かのきっかけがあって一度リズムをつけると案外また元に戻りやすいということ。

人間はひょんなことから「まあいいかな」という風になれるものなんだと思いました。

「誰か自分を殺してくれ」という気持ちになった

ヒラノ
引きこもりしている時に、本当にヤバいなって思ったことはありますか?
なかかず
高校卒業してからの引きこもりの時が辛かったです。当時、犬を飼ってまして、親があまり稼いでなかったので不妊治療をしていませんでした。それで子犬が産まれて家の中で育ててたんです。

その時、自分の精神状態がマズくて、ヒステリーのような感じで犬に辛くあたってしまって。

ある朝、自分の隣の部屋にいた1年経たないくらいの犬5匹が突然消えてて。親に聞いてみると「保健所に連れていった」と言われました。

ろくに散歩とかも連れていかず、最終的に犬を殺してしまった。自分はなんてひどいことをしたんだろうと。

その時は本当に精神的にどん底にまで落ちて、「誰か自分を殺してくれ」くらいの気持ちでした。それでも自分で自分を殺す勇気がなくて、どうしようもなくなって近くにあったカッターで自分の体を傷つけてしまいました。呆然として心ここにあらずという感じです。

部屋にはまだ犬の毛が落ちていたりして、直前まで犬達がいた痕跡を見ながらずっと泣いたりぼーっとしてたりしていて、その時がどん底でしょうね。

引きこもりのことは平然と人に話せるようになったのですが、この一件だけはなかなか話すことが出来ませんでした。

ヒラノ
今でも思い出して辛くなったりしますか?
なかかず
しょっちゅうではないですがありますね。でも、それがあったから余計優しくなれたのかなって思ってます。
ヒラノ
自傷行為にはいろんな要因があると思うんですけど、なかかずさんの場合は罪悪感ですか?
なかかず
そうですね。罰してくれという感じです。
ヒラノ
その辛い状態から戻ってくるまでの期間はどのくらいかかりましたか?
なかかず
1~2ヶ月はかかったと思います。その出来事があった前後くらいでネットゲームを始めまして。起きられるようになって、ネットゲームの中で人と関わってチャットとかしているうちに段々戻っていったのかなと。
ヒラノ
もう自殺しちゃおうってところまでは行きませんでしたか?
なかかず
危ないところまでは来てました。ただ、自分を殺す勇気がありませんでした。

 

犬のくだりは聞いててかなり辛かったです。そしてその結果、優しくなったというのはすごく共感が出来ました。

罪悪感からの自傷行為は責任感が強い人がなりやすい。実際に話している時も、彼から良い意味での純粋さと責任感の強さを感じました。

引きこもりと仕事について

ヒラノ
引きこもりと仕事の関係についてなかかずさんが思っていることはありますか?
なかかず
引きこもり経験のある側からしたら、もうちょっと楽に働けないかなと。時間や場所の制約とか。会社で働くとなると、例えば何時から何時まで働かないといけないというのが決まっていることが多くて。あと何日も連続して働くのがきついので休み休み働けたらいいなと。
ヒラノ
僕も休み休み働くのってすごくいいと思ってます。具体的になかかずさんが思いついた職業とか仕事内容ってありますか?
なかかず
カフェとかバーで、例えば昼間のランチだけ空いてるとか。曜日で営業日が決まってるとか。実際に近くに週末だけオープンしてるカフェがあって。接客が好きなんで、そういう働き方はいいなって思います。
ヒラノ
そういったシフトの仕事はこれまでもやられてました?
なかかず
引きこもりから抜けだした後にやったのがコンビニの夜勤のバイトです。ここは週4~5日で多くても3連勤でした。自分のペースで仕事が出来たっていうのが楽でしたね。
ヒラノ
今、引きこもり中の方にアドバイスするとしたら何かありますか?
なかかず
今はもうかなりネットが普及してますよね。自分が引きこもっている時代はネット回線がADSLも無かったくらいの、、、ISDNとかの時代だったんですよね。
ヒラノ
懐かしいですね(笑)
なかかず
本当にもう、引きこもってしまったら外とつながりが持てないような時代でした。今はネットを通じてどんどん外の人と関われるのでいいかなと。

あと、『相談』って難しいと思うんです。自分がどう思っているかも言葉にできないと思うんです。何を相談したらいいかわからない。つまり相談しようがない。

だから、普通に話せる人が欲しい。好きなことについて友達とかと話すといいですよね。

例えばゲームが好きだったら、今は家庭用のゲーム機でもネットを通じて世界中の人と一緒に遊べますよね。ゲーム好きな人を見つけて遊んだりとか。そうやって誰かと関わっているだけでも気持ちが変わってくると思うんです。

ネットって職業とか年齢とか関係なく話せる場所だから、自分が引きこもりだとか考えずに普通に接することが出来る。そうして仲良い人がいたら自然と外に出てみようかなあってなります。自分がそうだったんで。

無理に外に出ようと思わなくていいから、誰か一緒に話せる人がいたらいいんじゃないかと思います。

ヒラノ
めちゃくちゃ同意です。ネットの普及は確かに大きいですね。リアルで会えちゃいますもんね。あんまり抵抗が無くなってきた気がします。
なかかず
そうですね。昔ってオフ会とかもなんか、えー?って感じでしたもん。
ヒラノ
確かに、何かわからないけど不安でしたね。あと、なかかずさんにとって『接客業が良い』っていうのが意外だなって思って。これは何か理由があるのでしょうか?
なかかず
働いてて、『昔引きこもってたんですよー』っていうと、全然そんな風に見えないっていわれます。
ヒラノ
全然見えないですね。本当に。
なかかず
コンビニで働き始めて、最初は何も話せませんでした。でも、常連のお客さんがいて、だんだん話しかけてきてくれるようになるんです。もちろんイヤな人もいたんですけど、たまにお客さんから「頑張ってね」って言われて、それがスゴい嬉しくなって、頑張ろうって気持ちになって。

そうやってたら世間話くらいなら出来るようになっていました。いろんな人がいるのが面白いなって。

コンビニ時代に仲良くなった常連のお客さんでご飯誘ってくれた人もいましたよ。その人は結婚式まで呼んでくれました。

ヒラノ
えー!?スゴい!
なかかず
去年子供も産まれて、3~4日くらい前に家に遊びに行って、子供とも会ってきました。
ヒラノ
めちゃめちゃ交流あるじゃないですか!心暖まるなあ。
なかかず
だから接客やってると人とのつながりがあるから面白いなあって。
ヒラノ
接客でなかかずさんの才能が開花しましたね。
なかかず
なんで自分が接客が好きかという理由が最近わかるようになりました。多分、寂しいんじゃないかなって。引きこもってた経験もだし、一人っ子だから話す相手がいないし両親とも良い関係ではないっていうのがあります。寂しさから人と接したいというのが根底にあるんじゃないかな。

自分の声がずっとコンプレックスだったんですけど、全然知らない人から良い声だねって言われた時に嬉しくて涙目になったんです。

それ意外でも、誰かと楽しく話せるのが嬉しくて涙目になっちゃうことが多いです。そういう理由でも接客が好きなんだろうなって思います。

 

接客業と引きこもり。正直これまで自分の中で全くつながらなかった部分でした。

しかし話しを聞いてみると超納得。むしろどんどんみんな接客やったほうがいいんじゃないか?と思いました。

あと、「何を相談したらいいか自分でもわからない」ということ。これは周りの人が「相談に乗るよ」という状況に陥りやすいが、実際は自分でもわかっていないことが多い。

こういった状況はうつ病時の無気力状態にも共通していて、何がやりたいかわからないのでどうしようもない。それでも周りの人は一生懸命に相談に乗ろう、話しを引き出そうとして余計に疲れてしまうんですよね。

『村社会のダメな部分』について

ヒラノ
最後の質問です。なかかずさんが最初に引きこもりになった原因は子供時代にした都会から田舎への引越しということですが、その時に感じた『村社会のダメな部分』について教えて下さい。
なかかず
最近、移住ブロガーで有名なイケダハヤトさんとか、ヒキコモリズム井上さんとかもそうなんですけど、都会から田舎に移住するっていう人が多いですよね。大人になったら確かにわかるんですよね、田舎の良さも。

ただ、子供からすると、下手に移住すると危険なんじゃないかって思います。

幼少期か、あるいは高校生以上の精神的にしっかりした頃なら大丈夫かと。小学校、中学校の微妙な時期にコミュニティがガラっと変わるとすごく危険です。リスクがでかすぎて。

自分の地域は小中学校の頃、よそから引越してくる子供もいて、その子達を見てても自分と同じような感じで。最初はチヤホヤされるんですよ。でもだんだん飽きてくると元のコミュニティに戻って、引越してきた子は孤立気味になっちゃうという。

その年代で村社会に入るのは難しいんじゃないかと思います。

あと、子供だからこそ容赦の無い部分があって。誰かがハズれてても気にしないで輪を作ってしまう。大人だったら、ある程度配慮が出来る人が中には出てくると思うんですけど。だからよそから来て村社会に馴染めなかった時って精神的なダメージが大きいです。

ヒラノ
定期的に定住者と外部との交流があったらまた違うのかもしれませんね。
なかかず
田舎だと保育園とか幼稚園からずっと一緒ですからね。全員が幼なじみ。結束力が相当なものなんです。

子供の時にそういう場に入れられると上手いこと対処できない。大人なら当たり障りなく接したりすることができますけど、子供の時にそれをやれっていわれても無理ですね。

ヒラノ
このあたりの問題はネットで解決しないでしょうか?
なかかず
難しいですね。まず親兄弟がきちんと接してあげられてるんだったらネット使ってもいいんでしょうけど。その年代でネット使っても、仮にそういう場があったとしても見つけられるのかなって。

やっぱり親との関係が良いか悪いかで変わってくるかと思います。

最近はフリースクールとかいろいろ出来てるみたいですけどね。

ヒラノ
なかかずさんのお住まいの近くにもフリースクールってありますか?
なかかず
中学時代の引きこもりの時にそんな感じの場所に一度連れていかれたことはあります。不登校の子達が行くような施設です。ただ、そこもなんだこれは?という感じでした。
ヒラノ
それは例えばどのあたりで思ったんですか?
なかかず
施設に行っても結局みんな各自好きなことやってるだけで。テレビ観てる子はテレビ観てるし、本読んでる子は本読んでるっていう。一人ひとりが個別にただその場所にいるみたいな感じで。ちょっと違和感を感じたんですよね。だからもう行かなかったです。
ヒラノ
村社会というのは本当に難しいですね。引越してきた子同士で一緒になるしかないのかなと。
なかかず
あと田舎の問題というのが、家と家の距離が離れているということです。仲良くなっても気軽に会えない。山だから坂も多いし、自転車で移動したりもできないんです。だから学校以外のコミュニティができにくい。
ヒラノ
子供が村社会に来て、対応できなかった時の解決方法で何か思いつくことがあれば教えて下さい。
なかかず
最近、フリースクールを特集したテレビ番組を観たんですけど、既存の学校からはみ出しちゃった子たちの好きなことや得意なことを見つけて伸ばしていく教育方法をやってて、これはスゴいなって思ったんですよね。小学生くらいなのにキノコにものすごく詳しいっていう。
ヒラノ
僕もたまたまそれ観ました!
なかかず
ああいう場所がたくさんあったらいいんじゃないかなって思います。自分も行きたいです(笑)今、ネットなんかで好きなことで生きていくみたいなことが流行っていますけど、その中で小さい時から得意なことに特化できるのは本当に良いと思います。
ヒラノ
良いですよね。僕もあれを見て、将来は明るいなって思いました。今日はどうもありがとうございました。

 

物理的に離れているとコミュニティの形成が難しいというのは、都会に暮らしているとわかりにくい問題でした。

今後は新しいスタイルの教育方式や移動手段が出てきて子供達にも住みやすい環境になって欲しいです。

インタビューを終えて

僕は今でこそ引きこもり気味の生活を送っていますが、学生時代に引きこもった経験はありません。人が3回引きこもるとはどういうことなのか、なかかずさんと話して少しだけわかったような気がしました。

 

本人の口から直接辛い経験や胸に突き刺さるような内容の話しをしていただきまして、聞いているこちらも時折辛くなるほどでした。

 

しかし、中にはコンビニ時代のお客さんが結婚するという心温まるエピソードもあり、彼は良い物を持っているんだなあと実感出来ました。生きていれば辛いことの方が多いかもしれないけど、良いことだってあります。少しでも引きこもりやうつ傾向の人が楽な気持ちなったら良い。今回そんな気持ちで記事にさせていただきました。

 

インタビューを快く引き受けてくれたなかかずさん、本当にありがとうございました!

 

なかかずさんのブログはこちらから読むことが出来ますので、気になった方は是非!