元カリスマバンドマン、岡山移住ブロガーのヒラノ(@gonkichi331)です。
あなたは、作業用BGMというものをお聴きになったことがあるだろうか?
読んで字のごとく「何か作業しながら聴く音楽」のことである。
そもそも作業用BGMに歌入りは向いていない
ニコ動などではよくアップされていて、ここ2〜3年はYoutubeでも普通に質の良い物が聴けるようになってきた。
このような曲をかけ、家にいながらカフェの気分を味わいつつ、デスクワークなどの作業をする。
で、前提から話すと、僕は作業用BGMには歌入りの曲は向いていないと考えている。
なぜなら、ブログなどの言語的な思考を使った作業の場合、言語機能同士がぶつかってしまうためだ。
例えば、聴いている曲の歌詞では「冬」がテーマなのに、こっちが書いていることは「夏」の内容だったりして、そういうとき頭がぐちゃぐちゃになる。
僕は絵を描いたりしないのでわからないが、絵や造形をする時などはまた違うかもしれない。
20代までの時期は、音楽を聴いていても歌詞が頭に入ってくることはほとんど無かった。
音楽は全て音として捉えていたのでぶっちゃけると歌詞はどうでもよかった。
それがどういうわけか年々、歌詞が聞こえやすくなってくる体質になってきた。
そのため、言語的な作業をする時は歌が入っている曲を聴くのを避けるようになってきたのだ。
僕が文章を書く時は日本語で思考することが100%なので、特に日本語で歌われている曲は「音」としてよりも「言語」として聴こえやすいので注意が必要だ。
外国言語であり、僕がすぐにヒアリング出来ないような言語の場合は当然のことながら「音」として捉えられる。
このようなことから、基本的に僕は作業用BGMにはインストゥルメンタルといわれる、上記Youtubeリンクのように歌の入っていない音楽だけを選んで聴いている。
ユーミンだけはOK
ところが、これに例外があった。
歌入りの曲のなかで、ユーミンを聴いているときだけはやたらと集中することができた。
いわずとしれたJ-POPの女王、松任谷由実である。
ユーミンだけは、インストゥルメンタルを聴いている時と同等かそれ以上の作業効率が出たのだ。
でも、なぜユーミンなのか?
現時点で考えられることを全て書き出してみたので、僕と同じような、言語を使う分野の作業が多い人にはぜひ参考にして欲しい。
作業用BGMにユーミンが良い理由を解説しよう
キーがよく変わる
ユーミンの曲は、途中でキーが変化することが多い。
たいていの歌入りポップス曲の場合は「キーが変わる」「変調」といった場合はこうだ。
【例1】
Aメロ→Bメロときて、サビに入り、2コーラス目の繰り返しのサビ2で転調して、そのままアウトロまで行って曲が終わるというパターンである。大抵の場合は半音上がる転調が多い。
で、ユーミンで多いのがコレだ。
【例2】
1コーラス目のBメロまではそのまま来て、サビで転調する。
で、繰り返しでAメロとBメロがある場合は、また基準キーであるCに戻って、サビだけまたもや転調する。転調も半音じゃない場合が多い。
音楽通からいわせると、いわゆる『変態的』な楽曲構成なのだが、ユーミンの場合、奇をてらってこうしているわけではなく、ごく自然に変化している。(もしかしたら狙ってやってて更に自然なアプローチに聞かせてるだけかもしれない。彼女は天才である。)
女性ボーカルものだと、aikoが作るメロディも『変態的』である。aikoはやたらと半音をいれたがる。
aikoの場合、気持ち悪くないギリギリのメロディをさまようのだが、最後には気持ちいいところに収まってくれる。
こういった最後落ち着くメロディを、音楽的には『解決する』と呼ぶ。カラオケで歌うのは超難しいと思うけど。
ユーミンはアレンジもさることながら、特に作曲センスが抜群なのだ。
キーが変化することで何が変わるか
キーが変化すると何が起こるかというと、やはりそこには心理的な変化が生じる。
特に音楽に詳しくない人でも「ん?今何か雰囲気が変わったぞ」ということはわかるようになっている。
例1で出した、平均的なポップスの転調の場合、もう曲が変わってしまうくらい変わる。
音が低い音から高い音へ変化すると、人間は「なんか明るくなったな」という印象を持つ。
クラシック演奏の基準値であるAの音が、昔は438〜440Hzだったのが近年では445〜446Hzとかまで上がっている(ヨーロッパ基準が主)のも、こういった「明るい感じ」「きらびやか」という印象を狙っているからである。
このように、曲を単調にしないという意味でユーミンはキーの変化を多様することが多い。
民族音楽を盛り込んだ楽曲が多い
ユーミンは民族音楽もかなり聴いていると思われる。
そのため、アルバムを通して聴くと曲調に変化が大きい。
基本的にはボサノバやレゲエ調などのものが多い。
ユーミンの民族音楽への傾倒はこのあたりからはじまる。
アルバム『天国のドア』から満月のフォーチューン。
イントロのリードメロディからしてゴリゴリのエスニック推しである。
まるで80年代のヴァン・ヘイレンの黄金時代のようなシンセ音色で、このエスニックぶり。
Aメロのバッキングにも、イントロから通して似たアプローチのシーケンスフレーズが使われている。東アジア、中華的な雰囲気。
Raga#3とかは、インドのシタール的なペダルポイント(低音部で同じ音が続くこと)的なアプローチが印象的だ。
Youtubeに曲が無かったが、アルバム『THE DANCING SUN』に収録している砂の惑星もJ-POPからするとかなりの異色テイストだ。
むしろこのあたりから、リスナー的にはこれぞユーミン節みたいな感じになってきている。
で、極めつけはこの曲である。
イントロ入って2秒から、もう情緒たっぷりのガット・ギターがむせびなく。
僕はこの情熱スパニッシュすぎる雰囲気を、死ぬほどのラテンと呼びたい。
ちなみにこの曲はCMタイアップもあり、CDまあまあ売れたはず。当時はよく耳にした記憶がある。
フォルクローレと歌詞にあるように、南米的なアプローチなのだろう。
チャランゴとかでこの曲を弾いたら絶対合う。むしろ日本で生まれたJ-POPとは思えないラテンアメリカな仕上がりになると思う。
Bメロから急にサビに入ったりする物が多い。
ユーミンの曲はときどき急展開する。
平均的なポップス曲と比べると、Bメロを歌ってたと思うと急にサビに入っていたりする物が多い。
突然サビが来るにもかかわらず、ちゃんとサビ終わりまでに気持ちいいところまで持っていくところにユーミンのスゴさがある。
例えば、アルバム『FROZEN ROSES』のSpinning wheelとかそんな感じだ。
Bメロからスーッとサビに来て、リスナーが追いついてきたころに泣きポイントのメロディを当てるような作りになっている。
声がちょうどいい
ユーミンは声がハスキーだ。
子供の頃、ユーミンを初めて聴いたときはなんだこの声は?って思っていた。
それは粘りつくような声で、決して美声な部類ではない。でも、3回くらい聴くとクセになって頭から離れなくなる。
ユーミンの声というのは納豆とかチーズみたいなもので、最初はヘンな感じなんだけど、時間が経つと欲しくなってしまうといった中毒性があるのだ。
また、声質のみならず、声の高さも丁度いい。
ユーミンは、女性ボーカルとしては高すぎず低すぎずの声とメロディラインで、邪魔をしない。
高い声というのは聴いていて突き抜けるような爽快感があるものの、作業用BGMにはあまり向いていない。
女性ボーカルならではのソフトな癒やしがありつつ、キンキンしないユーミンの声は作業に最適なのである。
リズムが気持ち良い
そして、ユーミンの音楽にはリズムの気持ちよさという素晴らしい点も忘れてはいけない。
ユーミンというアーティストは、バックバンドへのこだわりがものすごいのだ。
音楽の基本は、洋楽の場合は『リズム』なので、ポップス音楽で使う楽器でいうと主にドラムとベースということになる。
ユーミンはこのドラムとベースの『リズム隊』を初期の頃から超一流のミュージシャンで固めている。
そのため、8ビート(ズンタンズクタン的なやつ)のようなシンプルなビートの曲でも、しっかりとグルーブが出ていて、気づくと身体を揺らしていることがある。
リズム運動はセロトニンを出す
リズムを感じると、脳はセロトニンを出すよう命令する。
セロトニンというのは、うつ病患者などに足りていない成分で、脳内から分泌される。
このセロトニンが、心身の安定や心がリラックスするのに必要な成分なのだ。
で、セロトニンの分泌を促すのに『リズム運動』が効果的だと近年わかってきた。
ガムを噛む、散歩するなどでもリズム運動になるため、音楽を聴く時にリズムに乗りやすいというのは重要なことである。
セロトニンが適正に分泌されていると、作業効率も上がる。
『リズムに乗りやすい』というだけでもユーミンの音楽は作業用BGMに最適である。
まとめ
というわけで、まとめるとこんな感じになる。
- 変化が適度にある楽曲は、インストゥルメンタルでなくても作業用BGMに向いている
- でも、プログレッシブ・メタルのように、1曲の中で変化の激しすぎる音楽は逆に疲れてしまうため要注意。
- ユーミンの曲にとっつきにくさはなく、どの世代でもすんなり聴けるのでオススメ
以上、作業用BGMにはユーミンの曲が超はかどる5つの理由でした!