こんにちは。音楽歴21年、元バンドマン、ボーカル&ギターと作曲をメインで担当していたイヤホン好きのアラフォー・ヒラノ(@gonkichi331)です。
OSTRY KC09をeイヤホンで予約購入してみました。
最近は安いイヤホンでもかなり音質が向上していて、このOSTRY KC09は1万円台の中ではなかなか期待できそうだったので試しに買ってみたんですよね。
総額13,000円で、予約特典のケーブルクリップが付属でした。ちなみにこれ、前々から狙っていたわけではないのでラッキーGETですね。
箱出し&開封!
こちらがOSTRY KC09の外箱です。
外箱は厚紙で、プラスチッキーな安さは感じられませんでした。
ぶっちゃけわたしはイヤホンコレクターではないので外箱などどうでもよく、イヤホンそのものの質を求めるタイプです。
が、やはり箱の質感から「ひょっとしたらこのイヤホンは自分が求める音がするのではないか?」というワクワク感と、所有欲を満たしてくれる感覚は好き。まあ外箱が良ければ良いにこしたことはありません。
これは、小学生がパッケージだけでおもちゃを選んでしまうような感覚ではあるのですが、何歳になってもドキドキする気持ちは忘れたくないですよね!
裏面には説明書き。チタンコーティングボディの良い質感を手にとって楽しみたくなります。
紙箱を開けると、さらに紙素材を固めたような自然素材の箱がお目見え。
ぱっかーん!!と開けてみました。紙っぽいナチュラル感とイヤホンのメタリックな調和が良いですね。
ちなみにこの箱、マグネット式です。謎のハイクオリティです。
小さい箱にはイヤーピースが収められていました。
ケーブルは大きいほうの箱に入っていました。極細のパラコード的な柔らかな手触りです。
ハウジング部分とケーブルとをつなげてみました。
高音域のクリアさが良し
まずは高音域のレビューから。
再生環境は、Amazon musicと、iPhone&iTunesでの再生です。
わたしのiPhoneの環境は以下の通りです。
- iTunesを使用
- 圧縮形式:MP3
- ビットレート:320kbps
- ポタアン等は使わずイヤホン→イヤープラグへの直結
レビュー最初の楽曲は、フィンガースタイルのアコギ演奏界で急上昇中のAndy MckeeのBlue Liquidから聴いてみました。
アコギのタッチ音
フィンガースタイルのアコースティックギターならではの、弦をはじく繊細さをしっかりと表現してくれます。
特に、アコギの右手でミュートしながらパーカッシブな音を出す時の「パシッ」というタッチ音がクリアです。かなり生っぽいです。
チャイムなどの高音
他の楽器でいうとクリスマス系の楽曲でよく使われているような、チャイムなどの高音の響きがしっかり鳴ってくれました。
正直、ダイナミック型とは思えない高域の出方です。いいですよ、これ。
高域が出るといっても決してピーキーというわけではなく、高域の表現力が豊かなんですよね。
実は今回わたしは、実際にイヤホンを聴いてから後で詳細なスペックを見ました。
つまりイヤホンの細かい構造などが全くわからない状態で聴いたわけなんですが、初見ではBA型に準ずるイヤホンといわれても信じてしまうほどで、「え?ダイナミック型??ウソだろう、、、」という感じでした。
ドラムの高音域でいうと、クラッシュシンバルの減衰音、クローズハイハットのキレがかなり良かったです。
中音域は女性ボーカル優位
男性ボーカル
男性ボーカルを試聴した時のレビューです。
中低音部分は膨らまず、クリアに聴かせてくれます。
ですが、比較的ラウドな楽曲ではどうしてもボーカルが引っ込みがちになってしまいました。
周波数特性としては、若干ドンシャリになっているようです。
女性ボーカル
中高音の女性ボーカルは、「し」や「す」などの無声音や子音が聴きとりやすく、息遣いがわかるほどの表現力を持っています。
中域部分にあたるギターやシンセサイザーで奏でる裏メロのオブリガート、アルペジオ等は左右に振られていてもしっかり鳴ってくれました。
もちろん、メインパートの邪魔をするほどの主張はないんですが、耳を集中すればしっかり耳コピできるレベルの聴こえ方でした。
また、高音域が抜けるため、特に子音が多い英語などの言語の歌は綺麗に聴かせてくれました。
低音域はベースが良い
ベース音
ベース音はRed Hot Chili PeppersのCalifornicationで検証してみました。
ベース部分のどっしりくるような重みは無く、そのかわり、音の最初の立ち上がりのアタック音が良かったです。
スラップ奏法などは特にめちゃくちゃ気持ち良く、クッキリした音の輪郭からコード感がよくわかりました。
わたしはコード感がわかりにくいイヤホンが嫌いで、どうしてもこのあたりの表現力は最低ラインとして求めてしまうんですよね。
1万円台で音楽のコード感がしっかりしているイヤホンを探している方にとってはOSTRY KC09はかなりの狙い目です。
ドラム音
続いてドラム部分のレビュー。
1番低域であるバスドラムにあたる部分の周波数特性の位置にちょっとクセがあるようで、R&Bではめちゃくちゃでかく、テクノではちょっと頼りない印象を受けました。
試しにジャミロクワイの音源でバスドラムを確かめてみたところ、「ドドッ」と重すぎず耳奥にまでしっかり届く低音でした。
よく低音に特徴のあるダイナミック型イヤホンのように、低音部分が「ブーン」といった感じで膨らみすぎず、キレがよくちゃんと輪郭が見えるのがいいですね。
クラブ系の打ち込みなどよりは生ドラム系との相性がいいのかもしれません。
遮音性は普通
一般的なカナル型イヤホンと同じで、外の車の音などは普通に聴こえました。
イヤーピースが2種類サイズ別に付属しているので、自分の耳穴にあわせてチューニングしていくともう少しマシになりそうです。
こちらは標準装着。
シュアー掛け。
高めの解像度
解像度はかなり高めでした。
また、BA型のように曲中で変にコンプレッサーがかかったような聴こえ方がしなくて良かったですね。
音が分離されすぎていないんですが、それぞれの音色がそこそこクリアに聴こえるといったなかなかいいバランス加減でした。
ソロパート等になっても極端に前に出てくることがなく、常に一定の距離を保ってくれていた印象です。
そのため、全体的に音が表面に出てこない奥まった感じはあるんですが、常にバランス良く鳴らしてくれるため1つの音楽として聴きやすかったです。
音場
音場の広さについてです。
BA型などの高級イヤホンなどに比べるとやはり音場は広くないので、広いものを求めるなら別のイヤホンを選んだほうがいいかもしれません。
モニターイヤホン的な音場の広さを求めている場合は間違いなく除外対象でしょう。
使いやすさ、取り回しなど
次に、ケーブルや取り回しについてです。
OSTRY KC09のケーブルは柔らかく、装着時のケーブルノイズは少ないものの剛性が無いためにケーブルが絡みやすかったです。
そのかわりクセは付きにくいというメリットはありました。レビューをしていてすぐにクセがつくようなイヤホンもありますからね。
外側がビニールのものですと、どうしても使っているうちにクセが曲がってついたり、バッグの中でもみくちゃにされてヘンな方向に曲がったまましばらく戻らなくなってしまいます。
クセが付きにくいものを求めている人にはこの標準付属のケーブルでもいいでしょう。
MMCXのケーブルが便利
ちなみにこちらはMMCX採用で、ケーブル断線時の交換や音質向上を求めたリケーブルも楽です。
MMCX対応ケーブルの中で、中音域を求めてeイヤホンで探してみたところ、こちらのケーブルが見つかりました。
引用:http://www.e-earphone.jp/osusume-recable-mmcx
高音域が強調されているため、OSTRY KC09の特性を損なわずに中音域が前に出てきてくれるケーブルとのこと。
しかも、細いケーブル仕様でタッチノイズが少なく、イヤホン全体の特徴的な印象をあまり変えずに底上げという形でリケーブルすることができそうです。
ジャンル別に聴き比べてみた
バンド系の音楽
若干ドンシャリ傾向にあることはわかったのですが、ドンシャリ系との相性はどうなんだろう??
・・・という疑問が湧いてしまい、BABYMETALのギミチョコ!を聴いてみました。
ギターのミュートのズンズンとした中低音はそこまでこないにしてもぼちぼち聴こえてくれました。
Low Bにチューニングされた7弦ギターに、メサブギーのアンプをあわせてミュートでズクズクやる時の演奏なんかけっこう良いんじゃないかと思います。
ただ、トータルで考えてラウド系の音楽と合わせるならやっぱりコレジャナイ感が強いです。
ハウスミュージック
2000年台にクラブシーンを騒がせたシカゴ・ハウスの巨匠であるKaskadeのSorryを聴いてみました。
上モノであるシンセのシーケンスフレーズなどは全面に出てきて音をつかみやすいです。
あと、シンセベースの聴こえはいいんですが、やはりドラムのキック音がもうちょい欲しいなあという印象でした。
ハウス系の打ち込みはこのイヤホンにはあまり合わなかったです。
懐メロなど
工藤静香のMUGO・ん・・・色っぽいで聴いてみました。
試聴に使ったのはAmazon Musicにあった音源です。
80’sの当時の流行であったブリブリとしたシンセベースも、各所に使われたボーカルのリバーブ感もしっかり表現してくれていて悪くなかったです。
ただ、レトロ感をもっと全面に出して楽しむのであればカマボコ型のイヤホンのほうがいいでしょう。
ボーカロイド音源
ボーカロイド音源を聴くにあたり、あらたに基準の曲を作りました。
今となっては定番すぎるんですが、ミクの調教具合(歌わせ方)と楽器の入り方のバランスが良いのと、転調もあるしブリッジ部分でボーカルが抜かれるために『千本桜』にしました。
結論としては、初音ミク特有の高音域の聴こえ方との相性が良かったです。
案外、周波数特性が合っていないイヤホンだと、どうしても初音ミクに代表される女性ボーカル系のボーカロイドは声が抜けてきません。
これまで使ってきたイヤホンの中にも、なんか聴こえが良くないなあ??というのがあり、この原因はボーカロイドの周波数特性にあると思っています。
アコギのインストなど
前述のギターインストのAndy Mckeeが良かったんで、もうちょっとインスト系(インストゥルメンタル=ボーカル無しの音楽)を深掘りしてみました。
Don Ross 『The Thing That Came From Somewhere』で試し聴きです。
OSTRY KC09はアコギを鳴らすためのイヤホン
Youtubeの音源では細かいところがわかりませんでした。
しかし、Amazon Musicの音源版ではドン・ロスが自宅の目の前でアコギを弾いてくれているような臨場感で超絶気持ち良い!!
アコースティックギターの豊かな胴鳴りが良く、メロディもバッチリ鳴ってました。
予算1万円くらいならアコギを聴くためにこのイヤホンを買う方がいてもおかしくないですね。ダイナミック型なのにこやつ、なかなかやりおる。
和楽器など
最後に、和楽器の繊細さをどのくらい表現できるかです。
実際に生でも聴いたことのある、野坂操壽(野坂惠子)先生の二十五絃箏の音源を聴いてみました。
うちは父と叔父が尺八演奏をしていて、従姉妹が和楽器奏者のために小さい頃から和楽器の演奏を日常的に聴いてきました。
数ある楽器の中でも和楽器は特に音の強弱が激しく、西洋音楽のようなリズム解釈ではなく、さらに十二音階では分解できないため、特に音響機器を選ぶジャンルといえます。
通常十三絃である箏。この倍近い絃を持つ二十五絃箏はかなり広いレンジを持つ楽器のため、今回はこの音源を選びました。
実際に試聴してみた感じでは、箏特有の爪のノイズなどについてはそこそこ表現されていました。
本来であれば、コンデンサー型のヘッドホンなどを使わなければこういった音源は100%楽しみきれません。
もうちょい細かく聴こえたらいいなあ、、、というのが正直な感想でした。
まあそれでも1万円台でしかもイヤホンでこれはかなり頑張っていると思いました。
おまけのケーブルクリップ
せっかく先行予約のおまけでケーブルクリップをもらったので、画像だけ載せておきます。まだ使っていません。
OSTRY KC09のレビューまとめ
OSTRY KC09にはインスト楽曲がオススメ
あえて歌モノを聴くのであれば女性ボーカルなんですが、やはりこのイヤホンにはインスト物のほうが相性がいいです。
レンジがかなり広いので、楽器の空気感をしっかりと届けてくれます。
音の分離や音場の広さを求めるならBA型でドライバー数個ついたような別のイヤホンを買って下さい。
予算が1万円台前半で、ある程度重量感のある低音を確保しつつ、高音のキレや繊細さを求めるならこのイヤホンを買うと幸せになれます。
やっぱりアコギが相性◎
アコギは周波数帯域との相性が良かったらしく、バッチリハマりました。ドン・ロスを気持ちよく聴きたいって時にわたしならコレを使います。
ただし、和楽器を聴くにはちょっと表現力不足でした。
このイヤホンはバランスが良く音疲れが少ないので、インナーイヤー型ほどではないにしろ、長時間の使用に向いています。
音楽は元気になったりリラックスしたりするもんなんで、この『聴いてて疲れない』ってのは大事ですよね。
次は男性ボーカルを気持ちよく聴くためのイヤホンが欲しいなあと思っているヒラノでした!